不動産をめぐる冒険

不動産会社設立、その他雑感

可能性は空の彼方まで

大学三年生になり就職活動をした時に、自分と社会の円の一部が初めて触れ合った気がした。


今までは大きな生活の輪の中で、飛んだり走ったり寝たりゲームしたり勉強をしているふりをしたりしていたが、時間に背中を押されて辺りを見回してみると小さい仕事の歯車がぐるぐるまわる世界が見え、自分はどのパーツになりたいのか選択してくださいと問いかけがあった。自分の強みは、弱みは、志望動機は、もっともらしく自己PRをして自分を受け入れてくれる組織を探した時から約10年が経った今、その機会を与えてくれた人たち、関わってくれた人たち、心を成長させてくれた出来事にありがとうと心から感謝している。


仕事を通じて報酬をもらい、金銭を得る行為はもちろん生活の手段だが、やりたいと思える仕事があり、その仕事の成長過程を想像し取り組み失敗を修正しながら輪郭を明らかにしていくことはとても楽しく思う。企業から内定をもらい、あとは卒業までの単位取得と学生時代の満喫のみとなった夏休みにカンボジアに旅行に行った。カンボジアで遺跡を巡りをしていると、現地のたくさんの子ども達が絵はがきを売りに近よってきた。買ってくれないケチなバックパッカーだ、でも暇だから遊んでくれそうと分かると、子ども達は売り子から好奇心旺盛な子どもの顔になり、草を投げてきたり背中にのったり笑いながら走りまわったりじゃれてきた。数分の遊びで打ち解けると、日本の食べ物や道路の整備状況や遊園地など興味の赴くままに多くの質問投げかけられた。この絵はがきを何枚売ったら日本に行けるかと、一人の五歳ほどの女の子から質問された。不意にうけた質問に反応し寂しげな顔になりそうな間を女の子が察し、笑いながら他の子たちの輪に入りまた走り回りだした。自分は日本に帰ったらちゃんと仕事をしなくてはと思った。就職活動は上っ面の儀式だった仕事をするという事が、初めて自分の中に取り込んだ出来事だった。


現在の経営環境はどうだろう。有益かつ無料のウェブサービスが数多く登場し、メディアやチャネルも形を変えながら拡大しつづけ、少子高齢化により既存の労働人口が減少していくことが想定できる現状は、企業が改めてその必要性を再考するほど、個人単位でのフレキシブルな経済活動が容易に行える刺激的で自由な経営環境が用意されているように感じる。なぜ集い、会社の体をなして仕事を行うのかに新しい価値を考える。そんな仕事の形の変革期だからこそ、会社を興し、組織形成と個人の経済活動を両立を模索したいと思った。

可能性は空の彼方まで。