-不動産をめぐる福利厚生サービス- 社宅
不動産会社の開業準備をしているkomainuです。
開業準備の一環として、不動産をめぐる福利厚生サービスの考察です。
「社宅」
社宅とは
従業員の福利厚生の一環として、会社が用意した住宅のことである。
社宅の分類大きく2種類
- 「社有社宅」
会社が賃貸住宅を保有し、その物件を従業員に貸し出す。
- 「借り上げ社宅」
1戸から1棟の物件を会社が賃貸借契約の契約名義人となり従業員に対し住宅を提供する。賃料9万円マンション、会社負担1万円の借り上げ社宅サンプルケースのお金の流れは下記のようになります。
従業員 ⇒ 「8万円」 ⇒ A社 ⇒ 「9万円」 ⇒ 物件オーナー
① 従業員は 社宅使用料として 「8万円」を勤務先のA社へ支払う。
②A社は賃貸借契約の条件通り、家賃「9万円」を物件オーナーへ支払う。
従業員は社宅利用料を法人に対して支払うが、個人が賃貸契約を結ぶよりも、設定されている会社負担分が従業員のお得分となる。
終身雇用と共に育まれた「社宅」という福利厚生制度。
高度成長期から90年代バブル期まで、社宅といえば「社有社宅」が一般的でした。
1つの会社を定年まで勤め上げる終身雇用・年功序列といった企業風土
↓
大量の労働力の確保のための会社から提示する福利厚生サービスとして、また、自社の資産形成として多くの大企業が社宅を保有していました。
私の地元にも大きなNTTの社宅がありました。1つの町名すべてがNTT社宅であり、その社宅に多くの友達が住んでいたので、公園も併設されている広い社宅敷地で友達とよく遊んでいました。住んでいた友達のお父さんやお母さんは全員NTTの社員だったんだなぁと思うと
・・( ゚д゚)ハッ!
バブル崩壊で経費削減、減損会計導入
90年代バブル崩壊以降、企業の経費削減施策により他のコストと同じく、福利厚生費も削減の方向に変わっていく。
↓
社宅の維持管理コストと土地建物の売却益を天秤にかけ、多くの企業により社宅の統廃合がすすんできます。
さらに2006年3月期から適用された減損会計も、「社宅」のあり方を見直す重要な潮流となったといえます。
減損会計とは
資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きをいう。
会社の資産として認識していた「社有社宅」は、次々減損の対象資産として判定され、数億円の減損損失が計上された結果、社有社宅の解消をはかり、自社では社宅を保有しない、「借り上げ社宅」へ福利厚生としての「社宅」のあり方変化していきました。いわゆる「ストックからフローへ」という企業トレンドです。
企業文化や従業員意識などを考慮し、その時代に合わせた福利厚生としての「社宅」のあり方が推移しています。
企業が福利厚生として「借り上げ社宅」制度を設定するにあたり、
<福利厚生として提供する会社側>のメリット・デメリット
<福利厚生を受ける従業員側>のメリット・デメリット
はどのようなことが考えられるのかを、「住宅手当」と合わせて、のちの記事でまとめようと思っています。